アメリカの景気を読み解きFXトレードに活かす指数として特に有名なのは先行指数ですが、米景気に呼応して動く一致指数も見逃せない大事な指数です。
先行指数が不確定な要素を含むのに対し、一致指数は景気との相関性が高いため、堅実なトレードを好む日本人には向いているトレード手法です。
この記事では、米景気に呼応して動く「一致指数」の一覧と主な内容、米景気の一致指数のFXトレードへの活かし方と注意点について説明します。
米景気に呼応して動く「一致指数」の一覧と主な内容
- 景気の動きとほぼ一致しながら動く経済指数
景気の動きを予測する先行指数や景気の動きを事後に確認する遅行指数と異なり、景気の現状を反映する指数となります。
一致指数の種類は国により異なり、米景気に呼応して動く一致指数は米非農業部門雇用者数・米実質個人所得・米鉱工業生産指数・米企業売上高の4種類です。
米非農業部門雇用者数
米非農業部門雇用者数は、米国国内で農業に従事するかたを除いた産業で働く雇用者数のことで、米雇用統計の指数の一つです。
民間企業や政府機関などの給与支払い帳簿をもとに集計されているため、実際の雇用の動きが反映されます。
失業率も雇用の動きを把握するのに役立ちますが、非農業部門雇用者数の方が給与の支払いが実際にあったことを示すため、よりリアルな雇用状況がわかります。
米実質個人所得
米国の消費はGDPの約70%を占め、世界経済の動向にまで影響を及ぼします。
そのため、アメリカ人の個人所得を表す米実質個人所得は、重要です。
米実質個人所得は、給与等の所得から社会保険料を控除しているため、個人が実質的に手取りできる数値となります。
米鉱工業生産指数
米鉱工業生産指数はアメリカの鉱工業部門の生産活動を指数化したもので、米GDPの推移と相関関係にあるのが特徴です。
米鉱工業生産指数は、総合指数の他に業種ごとなど細かいデータが示されます。
同時に発表される設備稼働率とあわせてチェックすると、より正確な動きを読み取ることができます。
米企業売上高
米実質個人所得で所得の動向は分かりますが、それとあわせてどれだけの個人消費があるかも大事なため、個人消費の動向を示す米企業売上高も大事な指数です。
米企業売上高のうち、自動車やその関連商品は景気と無関係に上下することが多いことから、自動車を除くコア部門が注目されやすいです。
雇用の安定や給与の増加が個人消費の増大につながりやすいため、米企業売上高が上昇するということは景気が回復する傾向にあると判断できます。
米景気の一致指数のFXトレードへの活かし方と注意点
米景気を判断する上で、一致指数は先行指数と比較すると注目度は低いですが、先行指数があくまで予測であり、現状をリアルタイムで反映する一致指数をもとにしたFXトレードは、手堅い手法と言えます。
一般的に、一致指数が上昇すると景気が回復、低下すると景気が悪化していると判断できます。
一致指数は景気と連動して発表されるため、先行指数を用いてある程度のトレードの方針を立てておき、一致指数でも同様の値動きになると判断できたらエントリーする、などの方法が有効です。
ただし、一致指数が景気の動向を必ずしも正確に反映しているとは限らないことや、景気の動向とは無関係にチャートが動くこともあるため、注意しましょう。
また、FXトレードでは、アメリカの景気だけでなく、通貨ペアの相手国の景気や地政学的な状況などにも影響されます。
さらに、一致指数が季節やアノマリー的要因によっても、左右されることがあります。
例えば、2022年の年末は所得や雇用が安定していても、米個人消費が年間最大の減少幅となり、通常であればクリスマス商戦などで伸びそうな時期に減少している要因は何か、などを読み解く力も、FXトレードで勝つためには大切です。
まとめ
米景気に呼応して動く「一致指数」の一覧と主な内容、米景気の一致指数のFXトレードへの活かし方と注意点について見てきました。
内容をまとめると以下のようになります。
- 一致指数は景気の動きとほぼ一致しながら動く経済指数
- アメリカの景気に呼応して動く一致指数は米非農業部門雇用者数・米実質個人所得・米鉱工業生産指数・米企業売上高の4種類
- 一致指数が上昇すると景気が回復、低下すると景気が悪化していると判断してFXトレードに活かすことが可能
米景気に呼応して動く一致指数は、先行指数と比較すると注目度は低いですが、景気のリアルな動きを把握でき、それをFXトレードに活かすことができます。
一致指数には米非農業部門雇用者数・米実質個人所得・米鉱工業生産指数・米企業売上高の4種類があり、それぞれがアメリカの雇用や所得、個人消費などを示します。
一致指数は先行指数と併用することで、より効果的にFXトレードに活かすことが可能です。