世界中のトレーダーが使うMACDは、オシレーター系のテクニカル指標で、初心者でも使いやすいです。
とはいえ、MACDは万能ではないため、意味や特徴を理解した上で有効に使うべきです。
この記事では、MACDの意味と計算式、MACDの使い方と売買シグナル、MACDと組み合わせると相性の良いテクニカル指標について紹介します。
MACDの意味と計算式
MACDは、1980年ごろにアメリカの機関投資家、ジェラルド・アペルが開発したテクニカル指標です。
「移動平均・収束拡散トレード法」の略で、読み方は「マックディー」です。
MACDの画面は、MACD線・シグナル線・ヒストグラムの三つで構成されています。
まずMACD線は、指数平滑移動平均線(EMA)の差であらわされ、計算式は「短期EMA-長期EMA」です。
MACD線の計算の基礎となるEMAは、一般的に使用される単純移動平均線(SMA)と異なり、直近の価格の比重が大きくなるのが特徴です。
MACD線では短期相場と長期相場の違いがわかり、上昇トレンドの場合はプラス、下降トレンドの場合はマイナスとなります。
シグナル線はMACDのSMAを指します。
シグナル線はMACD線と比べるとなだらかな曲線になり、クロスしたポイントで売買を行います。
ヒストグラムは線ではなく棒グラフで、MACD線とシグナル線との乖離を、視覚的に把握できます。
ヒストグラムは、トレンドの転換を視覚的に判断するのに役立ちます。
ヒストグラムの計算式は、「MACD-シグナル」です。
MACDの使い方と売買シグナル
MACDは、使い方が非常に簡単で、見るべきポイントもはっきりしているため、初心者でも理解しやすいテクニカル指標です。
MACDは、主にレンジ相場で威力を発揮します。
強いトレンドが発生している場合には、プラス圏またはマイナス圏でMACDが横ばいになり、売買ポイントがわかりにくくなることがあります。
また、レンジ相場でも緩やかで方向性が見えない横ばいの場合にはダマシが生じやすく、MACDは不向きです。
そして、MACDは主に日足以上のチャートで用いられます。
1時間足などを多く使うデイトレードで使うかたもいますが、より短い時間足でスキャルピングを行うには、MACDは適していません。
以上をふまえた上で、MACDを使う方法は、まずMACD線とシグナル線とがクロスするポイントです。
基本的には、MACD線がシグナル線を上にぬけると買いのシグナルで、これを「ゴールデンクロス」と呼びます。
逆に、MACD線がシグナル線を下にぬけると売りのシグナルとなり、こちらは「デッドクロス」と呼びます。
MACDは、直近の価格の比重を重視するEMAを用いているため、売買シグナルの信頼度が高いです。
ゴールデンクロスやデッドクロスは、ヒストグラムがゼロとなるゼロラインから離れているほど、より高い精度の売買シグナルとなります。
次に、MACD線やシグナル線がゼロラインを上にぬける場合は上昇、下にぬける場合は下降トレンドと判断できます。
MACDに慣れてくると、ヒストグラムを見るだけで、トレンドや売買シグナルが把握できるようになってきます。
MACDの応用編として、「ダイバージェンス」を使う方法があります。
ダイバージェンスとは、価格が上昇しているのにテクニカル指標が下がっているなどの、逆行現象のことです。
他のテクニカル指標でもダイバージェンスが発生することがありますが、MACDは視覚的にトレンドを把握しやすいため、ダイバージェンスを発見しやすいです。
ダイバージェンスが発生すると、相場が大きく反転する可能性が高いため、逆張りで大きく稼ぐチャンスです。
MACDと組み合わせると相性の良いテクニカル指標
MACDはトレンドが把握しやすく、ダマシも少ないテクニカル指標ですが、上記のようにいくつかの欠点もあります。
そのため、他のテクニカル指標と組み合わせて使用するのがおすすめです。
特に相性の良いテクニカル指標は、RSI・移動平均線・ボリンジャーバンドです。
RSI
MACDは、価格の動きの変化を移動平均線をもとにとらえますが、売られすぎや買われすぎなどを判断するのが苦手です。
そこで、そのような相場の過熱度を把握しやすいRSIを同時に用いると良いです。
RSIは直近の一定期間の終値をもとに、上昇幅と下降幅のどちらが上回るかを表示します。
例えば、RSIが20%以下の売られすぎの状態で、MACDでゴールデンクロスが発生した場合は、強い買いシグナルとなります。
それにダイバージェンスが加わると、なお精度が高くなります。
移動平均線
MACDは移動平均線をもとに計算しているため、移動平均線との相性が良いです。
どちらも初心者でも利用しやすく、シンプルなのが特徴です。
MACDと移動平均線が同じ動きをしている場合には強いトレンドが発生しているなど、判断できます。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドはトレンド系のテクニカル指標で、MACDと併用すると勝率が高まります。
ボリンジャーバンドは標準偏差を示し、価格が平均からどの程度離れているかがわかります。
例えば、±2σに価格が達した場合には平均からかなり乖離していることとなり、それをさらに上にぬける、または下にぬけると、強いトレンドが発生している可能性があります。
そこに、MACDのゴールデンクロスやデッドクロスが加わると、さらに強い売買シグナルとして機能します。
もしくは、MACDで売買エントリーし、ボリンジャーバンドで価格が±2σに到達したタイミングで決済するなどの方法もあります。
まとめ
MACDの意味と計算式、MACDの使い方と売買シグナル、MACDと組み合わせると相性の良いテクニカル指標について見てきました。
内容をまとめると以下のようになります。
- MACDは、MACD線・シグナル線・ヒストグラムの画面構成でトレンドの把握に役立つテクニカル指標
- MACDではトレンドや売買シグナルを知ることができ、ダイバージェンスもわかりやすい
- RSI・移動平均線・ボリンジャーバンドなどをMACDと組み合わせると有効
MACDは投資初心者でも使いやすく、視覚的にも理解しやすいオシレーター系のテクニカル指標です。
MACD線とシグナル線の2本の線に加え、棒グラフのヒストグラムで構成され、トレンドや売買シグナルが把握しやすいのが特徴です。
MACDの基本的な使い方は、MACD線とシグナル線とがクロスするポイントを探し、MACD線がシグナル線を上にぬけたら買いシグナル、MACD線がシグナル線を下にぬけたら売りシグナルです。
他にも、価格とトレンドの逆行を示すダイバージェンスが発生している場合にも、MACDを使うと高い確率で発見できます。
RSI・移動平均線・ボリンジャーバンドなどは、MACDと組み合わせるとより勝率を高めることができるテクニカル指標です。