海外FXは危険だと言われることがありますが、事実もあれば、誤解や知識不足にもとづく場合もあります。
海外FXの危険性の真偽、実際に海外FXで起こったトラブル事例、安全性の高い海外FX業者の選び方を紹介します。
海外FXの危険性としてよく言われる理由
日本の金融庁に登録していない
海外FX業者の多くは、日本の金融庁に登録していません。
その理由は、日本の金融庁に登録すると、日本国内の規制が適用されるためです。
登録した場合、レバレッジが最大25倍までとなる上、ゼロカットシステムも利用できなくなるなど、海外FXを利用するメリットがほとんどなくなります。
では、海外FX業者が危険かというと、そうでもありません。
国内FX業者の方が「のみ行為」のようなことを行っており、むしろ海外FX業者の方が顧客の利益と業者の利益が相反しない「NDD方式」を採用するなど、安心感があります。
出金ができない
国内FXと比較し、海外FXでは出金が遅い、または時間がかかる可能性があります。
それとは別に、いくら待っても出金されないことがあります。
その理由のほとんどは、海外FX特有のルールを理解していないことにあります。
海外FXでは、業者ごとに細かいルールは違いますが、業者間、もしくは別口座間で利益差を狙うアービトラージや両建てなどの禁止事項に抵触した時には出金が拒否、または凍結される可能性があります。
その他にも、クレジットカード決済のトラブル、国際銀行送金に時間がかかる、ボーナスを出金しようとするなど、様々な原因があります。
また、そもそも口座開設した業者が、詐欺業者の場合もあります。
税金が多額になる
国内FXのトレードで稼いだ場合、税金は申告分離課税が適用され、利益に対し約20%の利率となる上、損失の繰越が最大3年間できます。
しかし、海外FXのトレードで稼いだ利益は、雑所得の総合課税となるため、所得金額が大きいほど利率が高くなる累進課税が適用されます。
累進課税の税率は改正されることがありますが、平成27年以降の最新の税率は、所得金額が695万円以下の場合は5~20%ですが、それを超えると23~45%となり、申告分離課税よりも多くの税金を支払うこととなります。
さらに、住民税も10%程度かかるため、海外FXで多くの利益を上げたのに、税金をたくさんとられてしまうことがあります。
海外FXでのトレードで利益を得てもばれることはない、と税金をごまかそうとしても、トレード記録などにより高い確率でばれてしまうので、納税は確実に行いましょう。
海外FX業者で実際にあったトラブル
予告なくポジションを強制決済
IronFXは、2014年1月に日本人口座の新規口座開設やトレードを停止するだけでなく、強制的に日本人全顧客のポジションを強制決済しました。
これは、事前の予告なく有無を言わさず行われたため、含み損を抱えたままのトレーダーは、そのまま損失が確定する事態となりました。
日本だけでなく、中国やヨーロッパ、中東などでもIronFXに関するトラブルが多く発生しています。
2015年2月から、IronFXは日本人に対する口座開設を再開し、現在もそれが継続していますが、同様のトラブルが発生する懸念があるため、注意が必要です。
「追証なし」を撤回し、追証をかける
2015年に発生した「スイスフランショック」により、対ユーロでスイスフランが暴騰し、1時間で4,000pipsと通常ではあり得ない相場の急変が起きました。
この影響で、負けたトレーダーは大きな損失を負うことになりましたが、多くの海外FX業者が採用する追証なしのゼロカットシステムがある場合、口座に入れたお金以上の損失は発生しない、つまり追加入金する必要はないはずでした。
実際に、多くの海外FX業者では追証が発生しませんでしたが、FXDDでは「追証なし」と明示していたのにもかかわらずそれを撤回し、追証をかけるという行動に出ました。
その理由として、FXDDは「追証なしはサービスの一環。今回(スイスフランショック)のような暴騰を想定していなかった」と、言い訳のような説明をしています。
確かに、顧客同意書には追証なしの記載はありませんでしたが、大きな損失を負ったトレーダーが納得できる内容ではありませんでした。
出金トラブルで訴訟や抗議デモ、脅迫
出金トラブルは、規約にのっとったものであれば多くのトレーダーが納得しますが、不当な出金拒否や遅延、問い合わせても返答がない、口座の凍結などのトラブルは納得できません。
そのような出金トラブルがあると、多くの日本人は泣き寝入りする結果になることが多いですが、海外では訴訟やトレーダー仲間による抗議デモ、さらには業者のオフィスに刃物を持って侵入し、お金を出すように脅迫した事例さえあります。
安全性の高い業者を見極めるポイント
利用者の口コミ
安全性の高い業者を見極めるために、一番役に立つのは、実際の利用者の口コミです。
海外FX業者の公式Webサイトをよく見ることは最低限必要ですが、それだけではその業者が安全なのか、詐欺業者なのかを見極めるのは困難です。
まずは、日本人利用者の口コミや評判を調べると、その業者が日本人に優しい対応をしているかどうかが理解できます。
口コミは、正しい意見や利用者の本音がわかる反面、いわゆる「サクラ」による情報操作や、意図的に悪口を書き込むこともあるため、複数の評価を比較する必要があります。
日本語サポート
海外FX業者の公式Webサイトの多くは日本語表記されていますが、自然な日本語で表記されているか、直訳や片言で表記されているか、チェックしましょう。
様々なページを開き、ちょっと変な日本語表記や、翻訳されていない表記があると、信頼性にかけます。
また、電話やメールサポートも、日本人による対応か、日本語をあまり理解していない外国人による対応かで、いざという時に相談できるかどうかが決まります。
金融ライセンス
海外FX業者は、日本の金融庁に登録していない代わりに、海外の金融ライセンスを取得しているはずです。
もし、金融ライセンスを取得していない場合、信頼できません。
審査が厳しいと言われる金融ライセンスの例は、イギリスの「FCA」、キプロスの「CySEC」、ニュージーランドの「FMA」、ベリーズの「IFSC」、ケイマン諸島の「CIMA」などです。
信託保全管理
信託保全管理とは、もしあなたが利用している海外FX業者が倒産した場合、あなたがFX口座に預けた資産が補償される制度です。
具体的には、委託銀行もしくは担当弁護士を通じて、返済されます。
信託保全管理を行っていない業者も存在しますが、金融ライセンスやその国の規制機関からの圧力で、信託保全管理を行うように指導される傾向にあります。
まとめ
海外FXの危険性としてよく言われる理由、海外FX業者で実際にあったトラブル、安全性の高い業者を見極めるポイントについて見てきました。
内容をまとめると以下のようになります。
- 海外FXの危険性は事実もあれば、誤りもある
- 海外FX業者で実際に起こったトラブルを知ることが大事
- 口コミやサポート、金融ライセンスの有無などをもとに安全な業者を選ぶこと
海外FXは大きな利益を得ることができる反面、危険性も認識しておく必要があります。
特に、出金ができないトラブルは多くありますが、業者ごとに定められた出金ルールを理解しておけば、それらのトラブルを減らすことが可能です。
また、過去にトラブルを起こした事例を知り、そのような業者は避けるなどの対策をとりましょう。
安全な業者を見極めるポイントとして、日本語による手厚いサポートがあるかどうか、日本人の口コミで評判が良いか、金融ライセンスを取得しているかなどが挙げられます。