アメリカの経済において、農業や製造業の景気も注目されますが、それよりも雇用者数が多く景気の良し悪しに大きな影響があるとされているのが、米ISM非製造業景況指数というサービス業などを示す経済指標です。
アメリカの非製造業には世界的に有名な企業も多く、それらの企業の業況は為替にまで大きな影響を及ぼすため、それをうまくFXのトレードに活かすことができれば大きなチャンスが到来します。
この記事では、米ISM非製造業景況指数とは?発表される指標の意味と発表日、米ISM非製造業景況指数の為替への影響とFXトレードへの活かし方について説明します。
米ISM非製造業景況指数とは?発表される指標の意味と発表日
- 全米供給管理協会(ISM)が算出する非製造業の景況感を示す指数
- 毎月第3営業日に発表
375社以上の非製造業の購買・供給管理の責任者を対象として、アンケートした結果を指標化します。
アンケート項目は受注や在庫・価格などに関する10項目で、「良くなっている」「変わらない」「悪くなっている」の三者択一で集計した回答結果に、季節調整を加えた事業活動・新規受注・雇用・入荷遅延の指数をもととして総合指数が算出されます。
算出された指数が50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退と判断されます。
アメリカは、グローバルにサービスを展開しているサービス業(非製造業)が多く、先進国の中でもその比率は高いため、米ISM非製造業景況指数は特に重要度が高い指標です。
アメリカの労働者比率においても、非製造業の割合は高くなっています。
また、製造業は生活に必要な物も多く含まれているのに対し、サービス業はレジャーや娯楽など生活に必須ではないものも多いことから、米ISM非製造業景況指数が高いということはアメリカの消費者に余剰金があることも考えられます。
一方で、サービス業は短期的な利用が多く、製造業のように長期投資などが少ないため、月ごとの変動がやや多くなりがちなことから、あまり絶対視すべきではないとも言えます。
米ISM非製造業景況指数の為替への影響とFXトレードへの活かし方
米ISM非製造業景況指数は毎月第3営業日に発表されるため、同じISMが毎月第1営業日に発表する米ISM製造業景況指数とともに、景気の先行指標として市場の注目度が高く、為替への影響も大きいです。
アメリカが発表することから米ドルの変動に影響があるのは当然ですが、米ドルが基軸通貨として機能していることから、世界の景気の移り変わりにも少なくない影響を及ぼします。
さらに、FXの主要通貨ペアの多くが米ドルとのペアのため、米ドル円やユーロ米ドルなどでトレードしているかたなどには特に重要です。
米ISM非製造業景況指数が50%を超えていると米ドルが強いと判断され、対前月比で伸びていたり予想よりも結果が高かったりすると、景気拡大の傾向が強いと判断されます。
米ISM非製造業景況指数は、2020年初頭に40程度まで落ち込みました。
ところが、すぐに回復した後は、55以上と高い数値を記録し、2021年11月には70近くまで上昇しています。
その後、徐々に下落をはじめ、2022年12月には平均を下回る49.6になっています。
2023年に入ってからは、新規受注が15ポイント上昇するなどがあり、市場予想を上回るのびを示しています。
今後もアメリカの景気が好調であると判断し、米ドルが強いことを意識したトレードが良いですが、大手IT企業などが大幅な人員削減をしていること、人件費や仕入れ価格が高騰していることなども考慮し、FXトレードに活かしていくと良いでしょう。
雇用との関連では、米ISM非製造業景況指数と同時期に労働省より雇用統計が発表されるため、例えば米ISM非製造業景況指数の方が先に発表された場合はそれを先行指標として雇用統計の結果を待ち、雇用が安定していると判断できればアメリカの景気が好調で米ドルの通貨ペアで米ドルが高くなるなどの判断に活かしましょう。
まとめ
米ISM非製造業景況指数とは?発表される指標の意味と発表日、米ISM非製造業景況指数の為替への影響とFXトレードへの活かし方について見てきました。
内容をまとめると以下のようになります。
- 米ISM非製造業景況指数は全米供給管理協会(ISM)が算出する非製造業の景況感を示す指数
- 米ISM非製造業景況指数からはアメリカのサービス業の景気の動向がわかる
- 米ISM非製造業景況指数を先行指標としてFXトレードに活かすことが可能
米ISM非製造業景況指数とは、毎月第3営業日に全米供給管理協会(ISM)が発表する経済指標で、アンケートした結果をもとに非製造業の景況感を示します。
アメリカの雇用においてサービス業は大きなウエイトを占めるため、米ISM非製造業景況指数は先行指標としてFXのトレードに大いに参考になります。