RCIは、統計学における「スピアマンの順位相関係数」をトレードに応用したテクニカル指標です。
時間と価格との相関関係を見ることにより、トレンドの勢いや相場の加熱度などを知ることができます。
この記事では、RCIの意味と計算式、RCIの使い方と売買シグナル、RCIと組み合わせると相性の良いテクニカル指標を紹介します。
RCIの意味と計算式
- 日付と価格(終値)それぞれに順位をつけ、両者の相関関係を評価するテクニカル指標のこと
価格の上がりはじめや下がりはじめがどの時期からはじまるか、そのタイミングを捉えることが可能です。
他のインジケーターと異なり、価格がいつどのぐらい上昇したか、その値幅や割合は関係なく、単純に順位を基準にしているのが特徴です。
- { 1–6×d÷(期間日数 ×(期間日数の2乗–1))}×100
数式の「d」は、日付の順位と終値の順位の差を二乗した値の総和を指します。
日付の順位は基準となる日をさかのぼって順位をつけるため、基準日が1位、その前日が2位、となります。
終値の順位が日付の順位と全く一緒の場合、dの値は0となり、RCIは最大値の100%となります。
RCIの使い方と売買シグナル
RCIは、100%から-100%の間で推移します。
対象期間で何度も高値を更新する場合にはRCIは100%に近づき、逆に何度も安値を更新する場合にはRCIは-100%に近づきます。
RCIは価格の上下動には左右されず順位のみを基準にするため、極端な値動きにあまり影響されず、なだらかな曲線を描くのが特徴です。
一般的に、RCIが85%を超えると買われすぎ、-85%を下回ると売られすぎと考え、判断します。
RCIのその性質を利用し、買われすぎたタイミングで売り注文、もしくは売られすぎたタイミングで買い注文する逆張りのトレードが良く使われます。
他にも、RCIが0%に接近した場合にトレンドが終了したと判断して、0%ラインを上抜けた時に買い注文、下抜けた場合に売り注文する方法など、様々な分析方法があります。
1本のRCIでは精度をかくため、複数のRCIを表示させると、より実践的です。
まずは2本のRCIで試し、慣れてきたら3本のRCIを表示させるのがおすすめです。
短期線と長期線(3本の場合は短期線・中期線・長期線)を同時に表示させ、直近のトレンドと大局的なトレンドの差を比較し、売買タイミングを探るのが基本的なトレード方法です。
例えば、しばらくRCIの短期線と長期線とが同じように下落していて、その後、短期線が長期線を下から上に突き抜けるような動きをすれば、上昇トレンドに入ると判断します。
このような状態をゴールデンクロスと言い、ラインが交差したポイントが買いシグナルとなります。
逆に、短期線が長期線を上から下に突き抜けた場合はデッドクロスで、売りシグナルとなります。
RCIと組み合わせると相性の良いテクニカル指標
RCIは、日付の順位と価格の順位との相関関係をもとに、価格が割高か、それとも割安かを知ることができ、動きがなだらかなため、RCI単体でも売買シグナルを探り当てることが可能です。
しかし、RCIのみでは値幅がわからないため、価格差が小さくトレンドが発生しているとは言えない状況でもRCIが上昇し続けたり、トレンドがまだ継続していてもRCIが100%や-100%に張り付いたりしてしまうなどの欠点があります。
そこで、RCIと他のテクニカル指標を組み合わせ、より勝率を高めるのがおすすめです。
RSI
RSIはRCIと一文字違いで、動きも似ているため混同しているかたが多いですが、計算方法や役割が異なります。
RSIは上昇日の値幅が、設定期間中にどのぐらいの割合かを示すテクニカル指標です。
価格の上昇が続くと100%に近くなり、下落ばかりだと0%に近づきます。
RSIもRCIも買われすぎや売られすぎを判断する点では共通していますが、RSIは逆張り、RCIは順張りで活用すると、有効にトレードできます。
もしくは、RSIで相場が上昇か下落かをおおまかにとらえ、実際の売買シグナルはRCIを基準にトレードするという方法もおすすめです。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、統計学の手法をトレードに応用したテクニカル指標で、FXでは定番です。
一定期間において、今の価格が平均からどのぐらい離れているか、その標準偏差を表します。
具体的には、移動平均線から±1σの間に数値がある確率が68.3%、±2σの間に数値がある確率が95.4%、±3σの間に数値がある確率が99.7%です。
ボリンジャーバンドは、縮小(スクイーズ)と拡大(エクスパンション)を繰り返し、その推移とRCIの売買シグナルが重なったタイミングをねらう方法があります。
それよりも確実に利益をねらうのが、ボリンジャーバンドでバンドウォーク状態の時にRCIを順張りでトレードする方法です。
バンドウォーク状態はしばらくトレンドが継続する状態で、ボリンジャーバンドが2σや3σに近づいてもさらにバンドが拡大します。
その時に、RCIが100または-100付近に張り付いているなら、バンドウォーク状態が継続すると判断できます。
MACD
MACDはトレンドの転換点を示す重要なテクニカル指標ですが、レンジ相場でだましにあいやすいなどの欠点もあります。
それを補う目的で、RCIと併用する方法があります。
例えば、MACDがゴールデンクロスし、さらにRCIが0ラインをぬけて上昇、もしくは短期線が長期線を下から上に突き抜けたタイミングで買い注文を出すなどです。
MACDは遅行指標のため、RCIの方が早めにシグナルが出ます。
それを踏まえ、決済はRCIでシグナルが出たタイミングで行うなどの工夫が必要です。
まとめ
RCIの意味と計算式、RCIの使い方と売買シグナル、RCIと組み合わせると相性の良いテクニカル指標について見てきました。
内容をまとめると以下のようになります。
- RCIは、日付と価格それぞれに順位をつけ、両者の相関関係を評価するテクニカル指標
- RCIは順張りや逆張り、さらには複数のRCIを表示してゴールデンクロスやデッドクロスのタイミングで売買するなどのトレード方法がある
- RCIと相性の良いテクニカル指標は、RSI・ボリンジャーバンド・MACDなど
RCIは、日付と価格の順位を基準とし、買われすぎかまたは売られすぎかを判断するテクニカル指標です。
極端な値動きに左右されず、比較的なだらかな曲線を描くのが特徴です。
買われすぎたタイミングで売り注文などの逆張りやトレンドに沿った順張り、複数のRCIを表示してゴールデンクロスやデッドクロスのタイミングをねらって売買するなどの方法があります。
RSIやボリンジャーバンド・MACDなど、RCIと相性の良いテクニカル指標と併用することにより、勝率を高めることが可能です。