ピボットは、次のローソク足の動きを予測できるテクニカル指標です。
ピボットは7本のラインで構成されているため、一見すると難しそうですが、ポイントを押さえれば簡単に理解できます。
この記事では、FXにおけるピボットの意味と計算式、ピボットの使い方と売買シグナル、ピボットと相性の良いテクニカル指標を紹介します。
FXにおけるピボットの意味と計算式
ピボットは、アメリカ人のJ.W.ワイルダーが考案したテクニカル指標です。
ピボットは英語で「機械の回転軸」や「中心」という意味で、リアクション・トレンド・システムと呼ばれることもあります。
ピボットの特徴は、一つ前のローソク足から次のローソク足がどのように動くのかを分析することです。
ピボットには7本のラインがあり、その計算には前のローソク足の高値・安値・終値が使用されます。
7本のラインの中心となるのが「ピボットポイント(以下PP)」で、ピボットを理解する上で基本のラインとなります。
PPは、(高値+安値+終値)÷3で算出されます。
その後、3本のレジスタンスラインと3本のサポートラインを算出します。
PPから1本上のラインがレジスタンスライン1(以下R1)、1本下のラインがサポートライン1(以下S1)で、前のローソク足の値動きが継続した場合の値動きの目安を示します。
R1は「PP+(PP-安値)」、S1は「PP-(高値-PP)」で算出されます。
同様に、PPから2本上のラインはレジスタンスライン2(以下R2)、2本下のラインがサポートライン2(以下S2)で、高値と安値の値幅分のずれを考慮しています。
R2は「PP+(高値-安値)」、S2は「PP-(高値-安値)」で算出されます。
一番上のラインがレジスタンスライン3(以下R3)、一番下のラインがサポートライン3(以下S3)で、想定外の大きな値動きをすると仮定した目安となります。
R3は「R1+(高値-安値)」、S3は「S1-(高値-安値)」で算出されます。
R3やS3を超えるということは、想定外の強いトレンドが発生した可能性を意味することから、R3を「ハイブレイクアウトポイント」、S3を「ローブレイクアウトポイント」と呼ぶこともあります。
ピボットの使い方と売買シグナル、相性の良いテクニカル指標
ピボットでよく使われるのは、デイリーピボットとウィークリーピボットです。
デイリーピボットは、日足レベルで前日の高値・安値・終値をもとに計算するため、その日の相場の動きを大まかに把握するのに役立ちます。
週足や月足も、トレードスタイルによっては、積極的に取り入れると良いでしょう。
ピボットを使うことができるトレーディングツールはいくつかありますが、チャート画面のカスタマイズや自動売買が可能なMT4がおすすめです。
ただし、MT4を導入している国内FX業者は少ないため、海外FX業者の利用も検討しましょう。
ピボットは、R3とS3の範囲内にある時にはレンジ相場、範囲外にある時にはトレンド相場と考えて使い分けます。
レンジ相場の場合は、逆張りで売買シグナルを探り、トレンド相場の場合は、順張りで売買シグナルを探るのが一般的なピボットの使い方となります。
緩やかなレンジ相場の場合は、R1やS1にすら達しないこともあり、R1にタッチしたら売りシグナル、S1にタッチしたら買いシグナルと判断できます。
やや振れ幅の大きいレンジ相場の場合は、R2やS2にタッチしたタイミングを売買シグナルとします。
R3やS3に到達するということは、想定外の値動きということで、それをつきぬけるとレンジ相場からトレンド相場への転換点と考えることができます。
ただし、一瞬だけR3やS3を超えて、その後すぐに反転するダマシの可能性もあるため、注意が必要です。
ダマシにあわないために、または売買シグナルの精度をより高めるために、ピボットは他のテクニカル指標と併用するのがおすすめです。
移動平均線
ピボットは、一つ前のローソク足をもとに算出するため、長期的なトレンドを把握するのは不向きです。
そこで、長期のトレンドを見極めるのに適した移動平均線を使うと、ピボットの弱点を補うことができます。
移動平均線は、短期・中期・長期を同時に使うことで、トレンドをより正確に把握でき、現在のトレンド状況をもとにしながら、ピボットを活用することが可能です。
特に、R3やS3を超えた時に、移動平均線が同じ動きをしていると押し目買いなどのチャンスとなり、大きく稼ぐことにつながるでしょう。
フィボナッチ数列
フィボナッチは、数学における黄金比率を投資の世界に応用したもので、相場のサポートラインやレジスタンスラインとして機能することで人気があります。
ピボットとフィボナッチは、それぞれチャート上に複数のラインが引かれることから、似た特徴を持ちます。
そのため、ピボットとフィボナッチを併用することで、同じ売買シグナルが出たタイミングをねらうことが可能です。
ただし、ピボットとフィボナッチはいずれもトレンドの方向性を見極めるのが難しいため、注意しましょう。
RSI
オシレーター系のテクニカル指標のRSIは、売られすぎや買われすぎがわかるため、ピボットと似た性質を持ちます。
そのため、ピボットで逆張りの売買ポイントを探る際に、RSIでも同様のサインが出ていると、より確実になります。
RSIの数値が70を超えると買われすぎ、30を下回ると売られすぎとなるため、そのゾーンから反転したタイミングと、ピボットの売買シグナルが一致したら、エントリーしましょう。
まとめ
FXにおけるピボットの意味と計算式、ピボットの使い方と売買シグナル、ピボットと相性の良いテクニカル指標について見てきました。
内容をまとめると以下のようになります。
- ピボットは、直前のローソク足から次のローソク足の動きを予測するテクニカル指標
- ピボットは、レンジ相場では逆張り、トレンド相場では順張りでトレードするのが一般的
- 移動平均線・フィボナッチ数列・RSIはピボットと相性が良い
7本のラインで構成されているピボットは、一つ前のローソク足の高値・安値・終値から、次のローソク足の動きを予測できるテクニカル指標です。
ピボットは日足で使われることが多く、レンジ相場においてはサポートラインやレジスタンスラインにタッチして反転するポイントを売買シグナルとみなす逆張りで使われます。
また、R3とS3の範囲外にぬけた時に、トレンド相場に転換したとみなして押し目買いなどをねらうこともできます。
ピボットのみだと全体のトレンドの動きが把握しづらいなどの欠点があるため、移動平均線やフィボナッチ数列・RSIなど、ピボットと相性の良いテクニカル指標を併用するのがおすすめです。